Z世代とは

生まれた時からデジタル機器やインターネットに触れる機会があった世代である。

つまり、「スマホ世代」だ。

1965年〜1980年生まれを「X世代」

1981年〜1996年生まれを「Y世代」

1996年〜2015年生まれを「Z世代」と呼ぶ。

ジェネレーションX ー「X世代」と、「Y世代」

拝金主義にうんざりした男女3人の物語ー「ジェネレーションX-加速された文化のための物語」

という小説により、ジェネレーションXーつまりX世代という呼び名が浸透した。

1991年のことである。

X世代は拝金主義、形式主義にうんざりしているので、政治的関心も低く、日本では「しらけ世代」とも呼ばれていた。

X世代が成人になるのは1985〜2000年。

その頃にはポケベルが普及し始め、携帯電話、インターネット環境が始まった世代である。

X世代のマーケティングは、雑誌、新聞、テレビ、広告、電話営業などが主流だった。

Y世代は個人主義の価値観と保守的な価値観の両方持ち合わせている。

これはバブル崩壊などの経済的不安定期を経験したためである。

X世代が「自由」を強く望むのに対し、Y世代は「安定」を望む傾向にある。

Y世代が成人するのは2001年〜2016年。

携帯電話は普及、スマートフォンも徐々に普及し始めた時代だ。よって、

Y世代のマーケティングは、Webでマーケティングを行う必要が出てくる。

彼らはX世代とは異なり、

デジタルネイティブ世代である。

「Z世代」とは

Z世代の親は、多くがX世代である。

X世代はアナログからデジタルへの移り変わりを経験しており、

音楽、ゲーム、アニメなどを好み、

大人になっても子供の心を持つユニークな世代でもある。

よって

Z世代は、子供心の残るX世代といっしょにパソコンゲームを楽しんでいたのである。

Z世代はネットリテラシーが高く、

ファッション、食事、趣味など生活に関する情報はテレビではなくSNSで収集する。

デジタルやネットは生活の一部であり、新しいものを拒絶せず、順応していく特徴がある。

仕事に関しては、

Y世代の安定志向と同様に、現実的で、効率的。例えば、

•プライベートを重視、残業を拒む

•文字だけより、画像、動画を好む

•金銭感覚は保守的だが、ブランドより自分にとって価値のあるものにお金を使う

•タッチタイピングは慣れているが紙に文字を書くのは苦手

•新しい考えを受け入れ、社会課題、例えばジェンダー、災害、貧困問題などに関心を示す

こういったZ世代の若者であるが、

この間、思いがけなく

リアルZ世代の仕事ぶりを見ることになった。

Z世代のプレゼン能力

50代後半に差し掛かった私は考えた。

そろそろこの古いカーペットを変えたい。

どんな床にしようかな?

事故で転んだりした時、

老人にはカーペットの方がいいんではないか?

いやカーペットなら

少なくとも10年したらまた取り替えないといけない。

ハードな床なら、掃除も簡単で清潔、しかも長持ちする。

クッション効果はないから、

転ぶと大変だが、気をつけて歩けば、転ぶ確率は低い。

またラグとかを敷いてもいいではないか?

よし!

古いカーペットを一掃して、

床をハードフロアーにするぞ。

早速、数件のフロアー職人に見積もりのオファーをした。

Pフロアー社が14:00に

ロブ職人が17:00にそれぞれやってくることになった。

Pフロアーのスタッフが到着した時、

あれっと思った。

バイトの男の子かな。

40代くらいのおっさんを想像していたら、

デビュー当時のジャスティンビーバー?のような「男の子」がやってきたのだ。

うっわー

…..これは!

Pフロアーは新米のバイトを寄越したのか?

「あなたひとり?」

と聞くと、

「Yes」

彼は白い歯を見せた。

こんな子供の男の子に見積もりが取れるの?!

ああこれはハズレだな。

これが正直な気持ちであった。

「僕を見てみんな言うんですよね。君の親方はどこにいるんだって。」

それを察したのか、

彼は自分のキャリアを話し始めた。

彼はノースイングランド出身で、高校を出た後、

彼女と一緒にロンドン近郊に引っ越してきた。

やがて2人は結婚して子供も生まれる。

彼はフロアー職人から技術を学び、

やがて独立して自ら会社を起こした。

それが「Pフロアー」だ。

現在25歳でフロアー職人を始めて8年。

顧客の高い評価に支えられ、順調に業績を伸ばしていったという。

持参したカタログから床材を選んだ後、すぐに床の測定に取りかかった。

彼はメジャーを持っていない。

スマホのアプリを使って測定した。

瞬く間に測定が完了する。

スケジュールを確認しながら、

施行日を打診した。

ここから

いかに顧客を獲得するか、彼のプレゼン能力が冴えてくる。

「私の家はすでに家具が置いてあるの。

だから床を変えるのは

引っ越し並みの重労働になるかも。それが心配なのよね」

彼はいった。

「僕には同世代の相棒がいるんですよ。2人で家具を動かします。

ただクローゼットなどの家具の中身は出しておいてください。

あとは僕たちでやりますから。

僕らのモットーは正確さと速さです。

動かした家具は全て元の場所に戻します。

安心して任せてください」

(力のある若者たちが気をつけて動かしてくれるなら安心だな)密かにそう思う。

「床を取り替えるにあたって、複数の会社に見積もりを依頼しているの。

だから、まだあなたにお願いするか決めていないのよ。見積もりを見て連絡させていただくわ」

そう私がいうと、彼が言った。

「そうですか。

もちろん、他社と比べるべきですよね。

どうぞ比較してみてください。

ただPフロアーは現金決済をさせていただくので

その分、結構お安くさせていただいてるんですよ。

現に、他のお客さんが

うちの見積りは他社よりXXXポンド安くなっていた。

とおっしゃっておられました。

僕らの決済方法は、

通常、施行日初日に半額を現金でいただき、残額を仕事終了時にいただきます。

顧客のお部屋を拝見すると、その人の人柄が見えてくるんですが、

僕はお部屋を見て、あなたは信用できる人だと思いました。

だからあなたから初日の半額はいただきません。

仕事終了時に支払ってくれて結構です。

ぼくの使っている床材はXXXです。

品質においては最高です。

ぜひネットで検索してください。

今この床材は大変人気があり、

しかも今セールでXX%割り引き中なんですよ。

防水加工が施されているので

お掃除も楽。ロングライフなので

ダメージを受けることは少ないですが、

もし傷ついても、そこだけ取り替えればいいから

経済的でもあります。…..」

とまあこんな感じで

どんな質問にも流れるような流暢な答えが返ってきた。

知識というのはインプットに勉強しただけでは人を説得させられない。

アウトプットのレクチャー力があって、

始めて人を納得させられるのだ。

今まで出会ったビルダーたちは、商品や仕事をきちんと説明できる人は誰もいなかった。

職人は無口な人が多い。

でもこれからの時代、それを上手に発信するアウトプット能力は必要である。

このPフロアーの若者はそういった客を説得するプレゼン能力があり、

仕事ぶりは「正確」を売りにしている。

つまりいい加減な仕事はしないと明言しているのだ。

私はこの職人に好感を持った。

Pフロアーの後、ロブ職人がやってきた。

大柄な40代くらいの普通の職人である。

彼は床材のサンプルを持ってきており、

メジャーを使って床の寸法を測っていた。

家具を動かすときの質問をすると、

彼は家具を部屋の半分に寄せて、半分だけ床材を敷いて、

敷き上がった床半分の上に家具を移動させ、残りを敷く。

と答えた。

Pフロアーは全ての家具を素早く別の部屋に移動させて

家中の部屋半分を空っぽにしておいて一気に敷いていく。

と答えていた。

やがて双方の見積もりが送られてきた。

ほとんど同じ価格だった。

ロブ職人は昔ながらのやり方で実直に床を敷いていくのだろう。

彼のやり方でもいいけれど、

私はZ世代の合理的で新しい技術を見てみたい気がした。

そんなわけで、仕事はZ世代のPフロアーに頼むことにした。

Z世代の仕事ぶり

約束の日の朝9時。

同世代の相棒と共に彼が現れた。

初日の今日はリビングルームと廊下を空っぽにして

カーペットを剥がし、床をスムーズにする作業。

今日の仕事は何時に終わるかと聞くと、

「14時」と言われる。

普通職人さんの終了時間は夕方16時だ。

私はジムに行って時間を潰すことにした。

途中電話を入れると、彼は言う。

「ああ、電話しようと思っていたんだ。

今日の作業はもうすぐ終わるんで。」

何?

作業を始めて3時間弱しか経ってない。

14時に終わると言うのは、正確に言うと、

床を滑らかにするためのコンクリートが乾くのが14時らしい。

「じゃあ、すぐ戻るわ。」と言うと、

「申し訳ない。そうしてもらえると助かる。僕ら、これから別の仕事に行くので」

Pフロアーはその日もう一件、別の仕事を抱えていた。

今までの職人さんは

少しの仕事を1日かけてやっていた。

いい仕事をしてもらうために、お茶とかビスケットとか気を使ったものだ。

お茶を飲むのにミルクがない。と文句をいった職人もいた。

音楽を聴きたいからラジオも貸してくれといってきた職人もいた。

イギリスの職人って

ろくな仕事しない、レイジーで厚かましい。

そういうもんだとあきらめていた。

このPフロアーはお茶やビスケットなど入らない。

自分達でエネジードリンクを持参していた。

彼らにはお茶の時間などない。

そんなものは時間の無駄なのだ。

分単位で動くのか?と言うほど早かった。

スマホで好きな音楽を流し、

軽快に素早く動いていた。

4日間の床改造が終わり、最後の日に彼はいった。

「家具を置いているとき、はばき(床と壁の境にもうける部材)に当てちゃって、

ペンキが少し剥がれたんです。だから新しく塗っておきました。すみません。」

完全無欠の作業なんてないだろうな。と思っていたから、こんなことは予想していた。

でもそういう事態のために、彼ははばき用のペンキを車に常備しておいて

顧客のクレームが出る前に、応急処置していたのだ。

しかも前より綺麗に仕上がっている。

思わず、(他のはばきも塗ってくれないかな)と思ったほどだ。

彼の仕事に満足した私は彼に言った。

「あなたの仕事はとても良かったわ。私のブログで紹介していいかしら?」

すると彼は笑顔でこういった。

「ありがとうございます!

それなら、Checkatradeで好評価のレビューを書いてください。

それをみた方が新しい顧客になれば僕も嬉しいです。」

そう言って彼は白い歯を見せた。

やれやれ

合理的で頭の切れる

Z世代ってすごいなぁ

私は素直にそう思った。

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

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