弱っている時って食欲がない。
特に年寄りになると、本当に食が細くなり、だんだん食べなくなる。
それが続くと
「自然死」になる。
バラエティに富んだ食事レベル
私たちの目的は、患者が良くなって病院を退院することである。
そのために、必要な栄養をしっかりとってもらわねばならない。
しかし患者によっては普通の食事がたべられないものもいる。
寝たきりや、歯がない状態、消化器官に問題のある患者、などさまざまである。
イギリスの病院では食事は5段階に分かれてる。
ステージ7が、普通の食事
ステージ6が、やわらかめで、一口サイズにカットされたもの。
ステージ5が、細かく刻んであるもの、柔らかく煮込んでソースがかかって食べやすいもの。日本式に言うと、普通のお粥がこのレベルである。
ステージ4が、ピューレのようにドロドロしたもの。日本式に言うと米粒のない重湯のようなもの。
ステージ3が、液体状になっている。(feeding tubeー胃ろうを施した患者のため)
ローカルの病院に入院している患者は
ほぼステージ7の普通の食事でいいのだが、寝たきりの患者となるとそうはいかない。
ステージ6の食事を誰かが食べさせてあげなければならない。
バラエティーに富んだメニュー
さて、患者さんが午後のお茶を楽しんでいると、
3枚の紙をスタッフから渡される。
これは次の日のメニューが印刷されており、
患者さんは自分が食べたいものを選んで
印をして提出するのだ。
白い紙はブレックファーストのメニュー、
黄色の紙はランチ、
青い紙はサパー(夕飯)である。
ブレックファーストのメニューは
1フルーツジュース(オレンジ、アップル、クランベリー)
2シリアル(ポッリッジ、コーンフレーク、ウィートビックスなどの6種類のシリアル)
3パン(ロールか食パン、ホワイトかブラウン、バター、マーマレード、ジャム)
ランチ、サパーのメニューは
1メインコース 日替わり(肉料理か魚料理、もしくはベジタリアン料理)
2ポテト 日替わり(フライドポテト、マッシュポテト、ソテーポテト、コロッケ)
3付け合わせ 日替わり(ブロッコリー、キャロット、カリフラワー、ピーズ など)
4デザート 日替わり(ケーキ、アップルアンドクランブル、チーズケーキ、エクレアなど)
*サンドイッチ、サラダ、アイスクリーム、ヨーグルト、果物はいつもリクエスト可能
病院の食事は味気ない印象があるが、それは特別食の場合である。
食事一つで、患者さんの健康状態が変わってしまうので、
病院側は食べてもらえるように、
栄養面、味付けには気を使っている。
そして結構、患者さんは美味しそうに食べている。
げばは自身の小学校の給食を思い出していた。
給食には献立がすでに決まっており、
好きでも嫌いでも、児童は残さず食べないといけない。
あの頃の献立は、確か
パン、牛乳、メインのおかず(魚のフライとか)、プリン、キャベツの千切り
とかではなかったか?
げばは牛乳が嫌いだったのに、「残してはいけない」規則に縛られ、
無理やり牛乳を一気飲みし、その後、お茶で口を清めた。のを覚えている。
魔の日本給食に比べて、食事のチョイスができるなんて、素敵だなと思った。
NHSでクリスマス
スタッフが患者さんの食事を味見することはないが、
この間のクリスマスに、
NHSはスタッフにもクリスマスディナーを
お裾分けしてくれた。
そのクリスマスメニューは
ローストターキー
クランベリーソース
芽キャベツ
ヨークシャープディング
ローストポテト
ローストパースニップ (parsnip)
カクテルソーセージベーコン巻き(pig in a blanket)
クリスマスプディング
ミンスパイ ….
とびきり美味というものではないが、
一人暮らしで、
ローストディナーを日頃作らないげばにとっては、
嬉しいディナーだった。
クリスマスに仕事をしているスタッフへの心遣いである。
また、せっかくのクリスマスを病院で迎えなければならない患者さんに
NHSはささやかなプレゼントを用意した。
シェイビングクリームとかデオドラント、シャワージェルとかのトイレット用品である。
綺麗にラッピングされて、一人一人に配っていくと、
その度に患者さんから笑顔がこぼれた。
その日はクリスマスソングを病棟中にかけて、
陽気に歌を歌って過ごした。
仕事の忙しさは相変わらずだったけど、スタッフも楽しんだと思う。
こうしてみんなでバタバタ忙しくしていたら、
いつの間にか新年を迎えていた。
さあ、2022年も頑張りますわ。