猫が欲しい

もう10年以上も前の話である。

うちで飼っていた猫が亡くなった。

りんごちゃんとみかんちゃんの嘆きようは見ていて痛々しかった。

りんごちゃん 「猫のいない人生なんて考えられない」

げば 「….大げさなことを」

みかんちゃん 「このお家、猫がいなくてさみしいよお」

げば 「……..」

口を開ければ、猫が欲しい。猫が。のオンパレード。

もう少し、亡くなった猫をリスペクトして欲しいものである。

あの頃はお勤めもしてなかったので

子供たちが学校に行った後、ウェブサイトで子猫の検索をしてみた。

ひえー

たかが子猫一匹、なんて高いの!

子猫なんてこんな小さいのに600ポンドくらいする!

この国では犬や猫はブリーダーから買うようにと奨励されている。

だからペットショップに犬や猫は売ってない。

猫のレスキュー協会などからでも手に入るが、

あの時の私はその組織すら知らなかった。

そうやって暇ができると、猫の検索をしていた。

子猫って検索するだけでも結構楽しい。

この子がいい!

何日かして

隣町でペルシャ猫の子猫を見つけた。(私は鼻ぺシャで短足の猫が好きなので)

値段は300ポンド。他の猫に比べたら安値をつけてる。

なんで他より安いかというと、

血統書がないから

早速、彼に会いに行った。

りんごちゃんとみかんちゃんも特別審査員としてお越しいただいた。

でもこいつら

どんな猫でも

「かわいい〜〜〜」

で終わるから、

あんまり審査員にならんのだけど

案の定、

ブリーダさんに見せていただいた白い子猫に狂喜乱舞。

「この子がいい!」

子猫を離そうとしない。

私はブリーダーさんとじっくり話して

親猫も見て決めたかったのに

子猫に問題はなさそうだけど、

ウジウジしている私を置いて

ブリーダーさんは娘たちに

「この子を可愛がってね」

なんか娘たちと

にこやかに売買の流れができていた。

新しい家族に

その子猫はアルフィーと名付けられた。

名付け親はもちろん

りんごちゃん。

白い猫は幸運を運ぶというが、

我が家にも小さな幸運が舞い込んだ。

車の免許の実施試験に2回落ちて

落ち込んでいた彼女。

アルフィーがやってきた途端に試験にパス。

りんごちゃんは上機嫌である。

りんごちゃん 「アルフィーはねお外で遊んでいてもトイレに行きたくなったら、おうちに帰って、自分のトイレでおしっこするの。ジェントルマンだよねえ〜」

文字通り猫可愛がりである。

みかんちゃんはげばとスーパーに行くとペットコーナーに行って

アルフィーのおやつや、おもちゃを勝手に買い物カートに忍ばせる技を使う。

自分がアルフィーと遊ぶためだ。

思えばあの頃がアルフィーにとってもまあ平和な子供時代だったのだろう。

嵐は突然やってくる

ある日、アルフィーは(大嫌いな)キャットキャリーに入れられて

引っ越しする。

閑静な一軒家で大きくなった彼、

連れて行かれたのは見知らぬ土地。

げばが引っ越したのだ。

彼女に従って引越しさせられた。(一言の挨拶もなしに)

ここで彼は非情の掟、猫社会の洗礼を受ける。

縄張り争いのため、連日怪我をして帰ってくるようになる。

オスとして生まれた猫の宿命。

だが体が人一倍大きく、(猫一倍?)

ハンターとしてもピカイチ。

前のエリアを悠々仕切っていた

いわゆる「ボス猫」であった彼は

ここでも顔を利かせ始める。

一年もすると誰も喧嘩を仕掛けなくなった。

ここからアルフィーに当時のことを語っていただいた。

賢い技

うちのパティオ(ベランダ)のドアには猫ドアがついていた。

俺様(アルフィー)はそこを使って中と外を自由に出入りできるのだ。

ある日、そのドアが閉まっていた。

外から中に入りたいのに

押しても押してもドアが開かない。

外からの害獣を避けるために

げばがロックしたのだ。

そしてあやつ…..

そのまま仕事に行きやがった。

あのアホ。

俺様のことを忘れやがった。

どうする。

あいつ……

一回出てったら、

遅くなるまで帰らない。

俺様は考える。

そうだ!

ドアは中からなら開くんだから、

俺は

爪を立てて、

ドアに引っ掛けて

そのまま引っ張ってみた。

そしたら

なんとドアがかすかに動くじゃないか?

「押してダメなら引いてみな」

アルフィー

うまいこと行けば

(俺)入れるかも?

それから何回練習したんか知らんが

アルフィーは

爪を立てて

ドアを引き寄せてその隙間に顔を潜らせ

中に入ることに成功した。

げばもりんごちゃん、みかんちゃんもこれにはびっくり。

賢い猫になったねえ。

と喜んでくれた。

げばの賞賛

ある日げばが珍しく俺に話しかけてきた。

げば「あのね、会社の同僚がね、ソーセージドック買ったんだって」

アルフィ「みぃや (なんだそれ?美味しいのか)?」

げば「ダックスフンドだよ」

アルフィ「みぃや みぃや (小型犬か、俺の方が大きいな)」

げば 「その犬がなんと2000ポンドだって!2000だよ!信じらんない!」

*やく30万円

げば 「あんた買った時、300ポンドで高いな。と思ったけど、何い

今のペットのお値段、2000ポンドだって!」

げば (しみじみと)「300ポンドでも、君は十分賢くてかわいいよ。」

「友人のチェリーが言ってたけど、おうちに生き物がいるだけで、おうちの気が違ってくるんだって。

このお家にアルフィーがいるからなんだね。

いつも一人でお留守番ありがとうね。」

アルフィ 「みぃやあ みぃやあ! (だからあ。朝食もっと豪華にしてくれ!)」

と言ったのに、

げばは

聞こえないふりをして

寝てしまった!

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

「アルフィーの人生(猫生)」に2件のコメントがあります
  1. 賢そうな猫ですね。
    いつもチームのメンバーに口を酸っぱくして言っているのが
    『お客様目線で考えて行動しなさい!!』
    なのですが、猫目線は考えた事なかったです😄

    1. hahahaha
      パッチングワーカーさん、みてくださってありがとうございます。
      猫目線は楽です。単純明快ですから。人間もこうだったら、もっとストレスないだろうにと思います。

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