病院の患者さんは圧倒的にお年寄りが多い。
その人たちが何より楽しく語ること、
それは
若い頃の「体験」である。
50代でお金を使うなら
一生懸命働いて
服や宝石を買うのもいい。
車を買うのもいい。
家を買うのもいい。
しかし
歳をとって鮮やかに心に残るのは
「体験」だけである。
50代というのは
人生で一番豊かな時期だと思う。
金銭的にも、時間的にも。
その上
自らが健康であるならば、
迷わず
体験にお金を使うべきだではなかろうか。
みたことないものを見て、
やったことないことを
やってみるのである。
50代というと、人生の折り返し地点をとっくに過ぎている。
人生は短い!
げばは離婚して自由になった後すぐ、
スキーに行った。
30年ぶりだったので、初心者同様だったが、
それでも2、3日したら滑れるようになった。
フランスとスイス国境(Morzine)のアルプスは絶景であり、
スキーを楽しんだ後は、ジャクジーのバスでリラックスした。
スキーロッジの専属シェフが作るフランス家庭料理は
絶品だった。
その辺の高いホテルよりもよっぽどうまい!
と思ったほどだ。
あれから5年。
コロナとかあってしばらく旅行が自粛されていたが、
だんだん飛行機の行き来も元に戻りつつある。
よし!
久しぶりに旅行に行っちゃおうかな
そう決意した。
女ふたり、旅プラン
ひとりで行動するのは好きだけど、
見知らぬ土地に、観光で
ひとりきりで行くのはちと怖い
そこで同じくシングルで、仲良しのラテン女子、ルイーザを誘ってみた。
彼女はダンスが大好きで、よく2人で踊りに行く仲である。
すると彼女も旅行に行きたかったらしく、
私たちは意気投合した。
相談の結果、
イタリアのヴェニスに行くことにした。
「一生に一度、あのゴンドラに乗ってみたい。」
2人であれやこれや相談していると、ルイーザの妹が口を挟んだ。
「お姉ちゃん、ヴェニスに行くなら、ヴェロナにホテルとりなよ。
ヴェニスはホテルが高いんだよ。ヴェニスから汽車で1時間のヴェロナに泊まった方がいい。
そこ、そんなに高くないよ。それにヴェロナってユネスコの世界遺産になってる街だから
すっごく素敵だったよ。」
ヴェロナ?
聞いたことないね
日本の観光案内もそんなに特集していない。
しかし、ヴェロナという街は「ロミオとジュリエット」の舞台となった街だそうな。
シェークスピアはイギリスの作家だが、この作品の舞台はイタリアのヴェロナ。
よくわからないが、
そこにはジュリエットの家もあり、ちゃんとバルコニーもついているらしい。
近所にはロミオの家もある。
よし!
じゃあヴェロナに滞在して、ジュリエットのお家を見て、ゴンドラ(ヴェニス)には汽車で行こう。
今回、げばのやりたいことはこのふたつである。
しかし、ルイーザの観光計画は、げばのはるか上をいっていた……