離婚は
お金がきちんと
分配されて
やっと「終わり」になる。
ミスがでないよう
最後まで気を抜けない
ひとつのステージの終わり
「See You Tomorrow」
その言葉は
いちごちゃんが直にジョージと交わした
最後の言葉となった。
彼は次の日現れなかったのだ。
その代わり
全てのものが家からなくなっていた。
ジョージに電話すると、
引っ越し業者に頼んだという。
やれやれ…
がらんとした誰もいない家に
いちごちゃんはつっ立ったまま
しばらく動かなかった。
いろんな思い出が
走馬灯のように
浮かび上がる。
悲しいとか
寂しいとか
そういった感情は湧き上がらなかった。
一つのステージに幕が降りた。
自分は自分の役を精一杯演じ切った。
そんな感じだった。
仮住まい生活
いちごちゃんが、
新しいアパートをみつけて
引越しするまで
友人が部屋を貸してくれた。
いちごちゃんの新しい生活が始まった。
子供たちは幸い、
大学の寮で暮らしており、
いちごちゃんは身軽な一人暮らし。
気の置けない女友達との
共同生活は
大学時代に戻ったみたいで
結構楽しかった。
彼女がやって来て、
数日後、
友人たちが集まって
「ビバ!シングル!離婚パーティー」
を開催した。
みんなで料理を持ち寄って、
シャンペンでお祝いした。
飲んで
歌って
踊って
たくさん笑って
パーティーを楽しんだ。
いちごちゃんは
その時来てくれたみんなに
本当に感謝した。
そして
こんな仲間を持って
自分は本当に幸せだ。
と心から思った。
不動産弁護士事務所にいく
家が売れて、
不動産弁護士の案内状が届いた。
いちごちゃんは離婚の書類を持って
事務所を訪問した。
いちごちゃんは不安だったのだ。
タマラ弁護士も惑わされた
紛らわしい離婚文書。
お金を振り分けるとき
間違ってしまったら、
それを正すのに
相当な時間と労力がいる。
ミスが起きないように心配するよりも
事前にきちんと説明する方がいい。
彼女はそう思ったのだ。
不動産弁護士にアポイントメントをとり、
担当者と会ったのだ。
「なるほど
確かにややこしいですね。」
不動産弁護士は
離婚文書を見ながら
いちごちゃんの説明を
確認しながら聞いた。
「あなたの話はわかりました。
この文書の通り
私たちはお金を振り分けます。
でも文書の内容が不明瞭な場合、
我々は確認の作業を行わなければなりません。
説明していただいてありがとうございます。」
いちごちゃんは
ほっとため息をついた。
数日後、
いちごちゃんの口座にお金が振り込まれた。
彼女は思わず目を閉じた。
離婚のステージはこれで終わった。
よし!
次は自分自身の
新たなステージのはじまりである。
いちごちゃんは窓の外を眺める。
その頃は
桜の木が
花の季節だった。
満開の桜は
彼女を祝福してるみたいに
風に揺れていた。