弁護士が入れ替わることがある。
新人の弁護士に
場数を踏ませるためである。
これは
離婚に限らず
あらゆるケースで
「もうこれは大丈夫なケース」
とベテラン弁護士が判断した時、
インターンの弁護士に
後を任せるのだ。
テレサ弁護士去る
「やめるってどういうことですか?」
いちごちゃんは驚愕していった。
「わたしたちのケースは
とても有利なケースです。
あとは家が売れて
そのお金を分配するだけですから。
心配しないでいいですよ。
私はやるべきことは
全てやり終えて引き継ぎますから。」
ベテランの
テレサ弁護士だから
安心していたのに。
彼女は別の弁護士事務所に移籍するのだ。
新しい弁護士、タマラ。
テレサの後任の弁護士はタマラという。
彼女は若い、新人だった。
タマラはいちごちゃんに
自己紹介したあとこういった。
「それではあなたのことを
いろいろ教えてください。」
テレサに感じた暖かいオーラは感じられなかった。
それに限られた時間内で、
テレサが見てきた、波乱万丈のストーリーを
全て伝えることはできなかった。
だからいちごちゃんは
離婚の要点だけを説明した。
そしたら彼女は
とんでも無いことを言い出した。
「テレサの作った書類で
あなたが年金を受け取れる金額は£75,000とあります。
でも
ちゃんと%でも表さないといけませんね。」
年金の書き換え
年金を金額で表示したのは
テレサと話し合って承認済みだった。
年金の金額は
下がり続けていた。
そして現在、
£75,000という金額は
全体の63%を占めるほどになっていた。
タマラ弁護士は
いちごちゃんとテレサ弁護士のやりとりを知らない。
ただビジネスライクに
淡々と書類を作り、
ジョージの弁護士に送った。
再びの戦い
この63%
という数字を見て
ジョージが
黙っているはずはなかった。
きれものの弁護士、テレサがいなくなって、
タマラ弁護士はちゃんとやってくれるのだろうか?
いったいジョージの弁護士は
なんと応答するのだろう?
やがてジョージの弁護士から回答が返ってきた。
案の定、
ジョージはこの数字を快く思わない。
そこで
苦し紛れにこう言ってきた。
「年金£75,000を
いちごさんの名義に変更する際、
多額の手数料(£1000)が発生する。
ジョージはそれが不服だ。
そこで
我々が提案するのは
年金は動かさず
妻いちごに、
「現金」を年金代わりとして支払うようにしたい。
その代わり
妻いちごも
少々の値下げを承知してもらう。
年金£75,000を払うところ、
現金£65,000で折り合いたい。」
こういってきたのだ。