女の一人暮らしで
一番困るのが
DIY(Do It Yourself)
つまり日曜大工である。
イギリスには
ちょっとしたことを頼める
「ハンディマン」というサービスがある。
組み立て式の家具を組み立てたり、
ちょっとした電気工事、
棚をつけたり、
大きな鏡を取り付けたり、
ペンキを塗ったり、
だいたい相場は1時間£25くらいである。(3700円くらい)
ハンディマンってどういう人?
ハンディマンと言ってもいろいろで
ネットで宣伝している「ハンディマン」は
結構忙しく、なかなか予約が取れない。
それに彼らは
「あまりに小さい仕事は受けないよ」(No job too small)
という条件があるので、
げばとしては、
なんだ!
全然、ハンディ(便利)じゃないじゃないかあ!
と思ったものだ。
*追記
読者の方からご指摘があった。
(No Job too small) という意味は、
どんな小さな仕事でもやるよ!という意味だそうだ。
しかしながら、
売れっ子のハンディマンは
小さな仕事を頼んでも
全然連絡してくれなかった
というのも事実である。*
だから本当に便利なハンディマンは、
昔、建築業や、水道工事、電気工事をやっていた人が
リタイア後に小遣い稼ぎする
おじいちゃんハンディマン。
値段もそんなに高くなく、
知り合いになっておくと、
とても重宝する。
げばは同僚の旦那さんに
よく助けてもらっていた。
しかしながら、
その一家は
3年前に、引っ越ししてしまったのだ。
誰か助けてくれ
事件は突然起こった。
通気口のレンガの穴からハエが侵入し始めたのだ。
窓を閉め切っても、
入ってくるハエたち。
なんとかハエの侵入を防ごうと、
Amazonで売っていた、通気口レンガのカバーを買った。
しかし、そこで気がついた。
げばは、それを取り付けることができないのだ。
四隅に、ドリルで穴を開けて
そこにネジを入れて
カバーを固定しなければならないのだが、
通気口レンガにとどくはしごがない。
ドリルは持っているが、
ヘタレのため、怖くて使えない。
友人に頼むけれど、
近所の人は、はしごをもっていない。
遠くにいる友人は、はしごを持っていても
大きすぎて車に入らない。
「げばがはしごを調達できたら、助けるよ。」
彼らはそう回答した。
そうしている時でも
ハエは遠慮なく入ってくる。
困ったげばは、
なんとか
通気口を塞がずに
ハエだけ入れなくするにはどうしたらいいか
考えた。
考えた末、
その通気口に
庭に茂っているミントをさしてみてはどうか?
というアホなことを考えたのだ。
*以前のブログを参照してくださいませ。
けれど、この話を
Facebookに載せたところ、
ビルダーのお友達から
「通気口のレンガにミントなんかさすなんて!よくない!」
というお叱りの声を受けた。
わかっちゃいるけど……
じゃあどうしたらいいんかい?
と途方に暮れてしまった。
救世主現る
ある日、
げばがタウンから家に向かって歩いていると、
キッチンを改装しているらしいおうちを見かけた。
白いバンには憧れの、あの、
はしごが
バンの上に備え付けられていた。
ちょっと、このバンのにいちゃんに
カバーを取り付けてって頼んじゃおうかな?
そう思って、そのお家を見ていたら、
中からティーンの女の子を連れたお母さんが出てきた。
げばはその親子に近寄り、
「突然で申し訳ないですが….」
と勇気をだして話しかけた。
事情を聞いたお母さんが、
「ああ、そんなこと、
私、はしご持ってるわ。それくらい、私ができると思う。
そのレンガの場所、見せてくれる?」
と言ってくれるではないか!
うっそー!
お母さん!
はしご持ってて、
ドリル使えちゃうの!
……..30分後、
母娘は
本当にはしごを持って現れた。
通気口レンガと、げばのドリルを見て、
「あら、このドリル、レンガ用に差し替えできるのね🎵」
彼女は慣れた手つきで
ドリルを操った。
げばが感心していると
「ビルダーの夫の手伝いしてたから、いろいろ教えてもらったのよ。」
なるほど
プロの手ほどきを受けたわけか。
彼女は娘に手伝わせ、
はしごを伝って、ドリルで穴を空け、
あっという間にカバーを取り付けた。
「見て!素敵な出来栄えになったわよ!」
彼女はげばに笑顔を向けた。
「すごい!あなたって本当にすごいわあ!」
彼女は照れながら、はしごをしまって帰りかけようとした。
げばは、「いやいや待って!あなた仕事してくれたんだから、いくらか払わせてちょうだい。」
彼女は「何言ってんの。そんなのいらないわ。」という。
げばは彼女のポケットに、
ハンディマンに払うつもりだったお金を突っ込んだ。
「受け取ってもらわなきゃあ、また何かあった時、頼めないじゃない?」
彼女は「そういうことなの?」
と言って笑って受け取った。
カラッとして明るい、
爽やかなハンディウーマンだった。